年に一度の春、といえば!
工房担当の笹尾(♀)です。
まさに三寒四温というような日々を経て、ようやく、春めいてきました!
この季節は、歩くたびに桜や春の花々が芽吹いてくるのがみられて、通勤の道のりも楽しくなりますね。
春といえば、桜!
生粋の日本人の私、もちろん桜、大好きです。
amritaraでも先日、毎年恒例のお花見で盛り上がりました!
うちでは、満開前日の夜に、だんなさんと夜桜散歩。
出会った頃は、お休みもほとんどないような毎日だった私たち。
仕事から帰ってきて、夜中に近所の桜の木をたずね歩くのが、毎年の恒例になってしまいました。
そして、我が家の春の一大仕事は、苗床づくりです!
千葉県の匝瑳市でお米を作り始めて、今年で6年目になりました。
毎日食べるうるち米に加えて、黒米、赤米、緑米といった古代米、もち米、黒大豆に地大豆2種類、大納言と小豆2種類、小麦、そば、黒ごま、金ごまなど、いろいろやってみました。
もちろん、どれも無肥料無農薬の放ったらかし農法(笑)です。
週に1回、車を飛ばして通う程度のあくまで趣味ですが、お米と大豆、小豆に関しては、親戚や親しい方々におすそ分けしても、家族2人の1年分を十分自給できる収穫があります。
収穫した大豆から作る味噌は、1回に杉樽で14kgほど仕込むので、1年では使いきれません!(笑)
米作りで一年の最初の仕事が、苗をたてることです。
最初は水を切らさないのが大切なので、やはり目が届くところで育てたいと、ここ数年は自宅のガレージに、苗床を並べて育てています。
去年は米用の苗床が売り切れで、野菜用の育苗箱を使ってみたら、例年以上にワイルドで元気な苗に育ったので、今年もそれでいくことにしました。
かなり浅い米用の苗床とくらべて、野菜用だと土を厚めにできるので、水や栄養の含みがいいのかな、と。
掟破りだと思いつつ、こんな思いがけない発見が、毎年あるのが楽しいのです。
本やネットの知識に基づいた完全な自己流ですが、毎年、元気な苗ができています。
3月の頭に、去年収穫した稲穂から、丁寧に手で種籾を脱穀して、塩水に沈んだ種籾を60℃のお湯で10分ほど消毒し、約20日間、冷蔵庫で水に浸しておきました。
十分に水を含んだ種籾を発芽させるため、2~3日前から、約25~30℃のお湯に浸しています。保温調理器が、こんなかたちで大活躍!
すると、ふっくらとしたお腹になった種籾に、ちょこんと白い先っぽが見え始めます。こうなったら、まき頃。
田んぼから移してきた土を苗床にはって、種籾をまいて、たっぷり水をやります。
発芽のためには昼夜の温度差が必要なので、日中はこの透明のカバーをして温室状態にして、夜になったらカバーをはずして温度を下げます。芽がでそろって2.5葉くらいに葉がでるまで、水やりと温度調節を毎日繰り返します。
2、3日もすると、、、、こんなかわいらしい芽があちらこちらにでてきて。
どんなに見ていても飽きません。毎朝、通勤前のお楽しみです。
東京に住み、会社で働きながら、自分たちが食べる米を作る。
こんな暮らしが、こんな簡単にできるようになるとは思っていませんでした。
(もちろん、休耕田を貸して下さっている地主さんのご協力あってのことですが)
今ではすっかり、農繁期と農閑期で1年のサイクルを区別するようになってしまいました。(笑)
ただ、お米と大豆を自分たちで作ってみて思うこと。
米もお天気も、私たちの都合にはまったく合わせてくれません。
でも、ほんの少し愛情と手間をかけるだけで、毎年必ず豊かな実りをもたらしてくれます。
太陽と大地、自然の圧倒的な大きさとそれ以上に豊かな懐の深さ。
人智を超えた偉大なるものの存在が、心底、身にしみこみました。
同時に、ちっぽけなこだわりを手放すことができました。
そして、自分が食べるものを自分の手で作れるという絶対的な安心感。
自分の命をつなぐものを、自分の手に取り戻せたという自負ともいえる感覚。
これは、思い描いていなかった収穫でした。
晩秋、1年の作業をほぼ終えて、玄米を満載した車で田んぼを後にする日は、毎年決まって、原始的な生きる悦びがおなかの底の方からわきあがってきます。
最初の年は、今まで味わったことのない悦びの衝動に、思わず涙があふれるほどでした。
米は、1年に1回しか作れません。
あたりまえなんですが、自分で作って初めて、そのことに思いが至りました。
人生であと何回作れるのかな、と思いながら、米とお天気のご機嫌をうかがいつつの毎日が、今年も始まります。
大分県の中津江村にある、アムリターラ農園の田植えのほう5月下旬。
今年も、素晴らしい実りがありますように。
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